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「祝婚歌」

こんにちは。

結婚前に勤めていた会社で、同じ課にワタクシより少し年が下のAさんという営業マンがいました。

いつもとぼけた感じで飄々としていましたが、温厚で話しやすいタイプだったので何かミスをしたときなども頼みやすかったし、

課の中で最年少だったAさんにとっても、ワタクシは気を使わずに話しができる数少ない同僚の一人であったようで、いつも二人でくだらない話しをしておりました。

いつもとぼけているAさんなので、そんなに深い内容の話しをすることはなく、ワタクシもいつもとぼけた受け答えをしておりました。

その頃、月に一度だったかな?会社の社内報というのが発行されていまして、そこに無作為に選ばれた社員が記事を書くというコーナーがありました。

B5サイズくらいの大きさの社内報の半分のスペースがそのコーナーにあてられていました。

趣味のことでも、職場のことでも、家庭のことでも、とくに内容の規制はなく、みんないろいろと好きなことを書いていました。

140121_160414ある時、そのコーナーにAさんが記事を書く順番がまわってきました。

Aさんはそこに一編の詩を紹介していました。

「結婚式のスピーチでよく使われる詩ですが、夫婦の間だけでなく人間関係全てを良好に保つためにいつも心に留めたおきたい詩です」

とAさんは書いていました。

多分、自分の結婚式の時のスピーチで誰かがこの詩を取上げたのでしょう。

ワタクシはそのAさんの書いた記事で初めてその詩を読みました。

とても感動して、目頭が熱くなりました。

いつもとぼけているAさんだけど、なんだ、結構いいヤツじゃん、と

ちょっとAさんを見直したりしました。

そして、本当に感動したワタクシは、この詩を心に刻んでいつか結婚したらこの詩のように夫婦仲むつまじく暮らそうと、Aさんの「ニカッ!」と笑う顔写真付きのこの記事を切り抜いて家の引き出しの奥にそっとしまっておいたのでした。

もちろん結婚して田原に来るときも、嫁入り道具の中に「ニカッ!」と笑ったAさんの顔写真付きのこの記事を入れることは忘れませんでした。

それから10年ちょっとの時が流れ・・・

あの記事、

どこにしまったんだっけ?

記憶も感動も薄らいできた今日この頃です。

詩人、吉野弘さんの訃報に触れ、久しぶりにその詩を読み返しました。

その記事をしまった場所は思い出せませんが、ネットで検索すればすぐに見ることができました。

やっぱり、いいな。

なかなかこうはいかないけれど。

   『祝婚歌』        吉野弘

 二人が睦まじくいるためには

    愚かでいるほうがいい

    立派過ぎないほうがいい

 立派過ぎることは

 長持ちしないことだと

     気づいているほうがいい

 完璧をめざさないほうがいい

   完璧なんて不自然なことだと

    うそぶいているほうがいい

   二人のうち どちらかが

 ふざけているほうがいい

 ずっこけているほうがいい

 互いに非難することがあっても

 非難できる資格が自分にあったかどうか
 

  あとで疑わしくなるほうがいい

 正しいことを言うときは

 少しひかえめにするほうがいい

 正しいことを言うときは

 相手を傷つけやすいものだと

 気づいているほうがいい

 立派でありたいとか

 正しくありたいとかいう

  無理な緊張には色目を使わず

 ゆったりゆたかに

  光を浴びているほうがいい

 健康で風に吹かれながら

  生きていることのなつかしさに

  ふと胸が熱くなる

  そんな日があってもいい
   

そしてなぜ  胸が熱くなるのか

 黙っていてもふたりには

   わかるのであってほしい

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